院長ブログ

長津田皮膚科に関する情報を発信していきます。

休診日や診療時間の変更、季節ごとのスキンケア、院内設備の紹介などを行っていきます。
EBM
 ブログを書く時に心がけているのは、いわゆるEBM。evidence based medicine、根拠に基づいた医療です。参考書、教科書に書いてある内容であっても、その裏付けとなる論文を探し、出典にあたり、妥当性を判断してブログを記載します。
 例えば、ある症状にどのような薬を使うか、頻繁に論文が作られ、その都度「より良い」薬の種類が変わることがあります。そうなりそうな内容のテーマには、( )で論文の出版年や執筆者を加えて、どの時点での評価かを明らかにしております。

 情報番組やインターネットなどにおいて、まことしやかかに言われていることでも実は根拠が無かった、なんてことが結構あります。玉石混交。ご注意ください。

 前回のブログ「スキンケア第13回 紫外線対策 〜日焼け止めの塗り方〜」の中から、「顔全体に外用する場合、0.8〜1gが必要と言われます。例えば、クリームタイプの場合、真珠5〜6粒。ローションタイプでは500円玉程度の大きさを塗る必要があります。これは思ったより多い量だと思います。「塗ると肌がうっすら白くなる」程度の量だと思います。この感じで全身に外用して下さい。」を例に、論文を紹介しながら”根拠”を述べてみます。

 まず、前提として日焼け止めの「適量」はSPFを測定する時に基準が最初から決められています。1cm2当たり2mg、手のひら1枚(100cm2)では200mg、顔全体では概ね800mg〜1000mg(0.8g〜1.0g)となります。これは「塗ってみるとべとつく、白浮きする」ぐらいの量で、人によっては「塗り過ぎた」と思うぐらいの量です。
 
 さて、一般にはどれくらいの量を皆さんは顔に塗っているのでしょう?・・・だいたい適量の1/4以下しか、実際には塗っていないようです(Auiter P, 2001./ Wulf HC, 1997.)。
 この1/4の量ではどれくらい効果があるのか、効果が落ちるのでしょう?・・・SPF50の日焼け止めを1/4しか塗らないと、SPFは2.7に落ちます。つまりSPF50では1/4しか塗らないと、効果も1/18に落ちると思って下さい。SPF15とSPF30を1/4ずつ塗った場合には2.0と2.3にそれぞれ落ちます(Pinnell SR, 2003./ Wulf HC, 1997.)。となると、ふだんの塗り方ではSPF15、30、50とでは大差なく、期待する効果が無いことがわかります。
 このため、日焼け止めは普段の「少ない塗り方」ではなく、製薬会社が予定する本来の「かなり多めの塗り方」を守って、しっかり塗りましょう・・・というお話になります。

 ブログでは皆さんに読んで頂くため、なるべく簡潔&見やすく作っております。細かすぎる数字はなるべく省いていきます。ですが、情報の正確さ(執筆時)を担保するため、引用先や年度が最低限分かるように記載することもあります。ご容赦ください。
| つれづれ日記 | 22:42 | comments(0) | - |
スキンケア 第13回 紫外線対策 〜日焼け止めの塗り方〜
今回はどのように日焼け止めを塗れば高い効果を得られるか、解説致します。

【塗る場所】
 紫外線が強くなる時間は10時〜14時の間で、もちろん太陽からの紫外線が直接あたることを避けるべきです。それだけでなく、道路のアスファルト(5〜6%)、海の砂浜(15〜20%)など、地面からの照り返しでも紫外線を浴びます。(紫外線が強い時期は4月〜9月ですが、それ以外の時期でも、例えば雪上でも紫外線の照り返しがあるため注意が必要です。)
 このため、顔だけでなく、全身で紫外線対策が必要です。
 まず、顔ではひたい、ほほ、鼻、耳、あごを忘れないようにしましょう。また、首、胸、うで、手の甲、足のように露出しているところには日焼け止めを塗りましょう。塗れないようならば、長袖ないし長い裾の洋服で紫外線を防御しましょう。もちろん、つば広の帽子も非常に有効です。

【塗る量と回数】
 肌に良いから、との思いで少量しか日焼け止めを塗らないこともあると思いますが、それでは販売会社が期待するSPFやPAの効果は出ません。期待する効果を出すには、適切な量を外用する必要があります。
 顔全体に外用する場合、0.8〜1gが必要と言われます。例えば、クリームタイプの場合、真珠5〜6粒。ローションタイプでは500円玉程度の大きさを塗る必要があります。これは思ったより多い量だと思います。「塗ると肌がうっすら白くなる」程度の量だと思います。この感じで全身に外用して下さい。
 また、屋外に出ている時間が長い場合には、外出直前だけでなく、途中で塗り足して下さい。外用剤は汗で容易に流れ落ちてしまします。製品や使用状況によっても異なりますが、日差しが強い場合には2〜3時間毎に塗り直すことが望ましいと思います。

 油断しないで頑張ってお肌を守りましょう。
| スキンケアのポイント | 22:16 | comments(0) | - |
スキンケア 第12回 日焼け止めの基礎知識
前回までのブログでは、紫外線の中にUVAやUVBなどがあり、それらがどのような影響を皮膚に生じさせるかについて触れました。どのようにすれば紫外線から皮膚・体を守ることができるのか、まずは日焼け止めについて解説致します。

【用語】
日焼け止めを理解するの必要なキーワードは、SPF、PA、紫外線散乱剤、紫外線吸収剤です。

紫外線に対する防御効果の指標としてSPFやPAがあります。UVBに対する防御効果としてSPFがあります。上限は50で、数字が高いものほど効果が高くなります。SPFが50以上の効果があるものは50+と表記されます。UVAに対する防御効果としてPAがあります。PA+、PA++、PA+++、PA++++(2013年から)の4段階があります。「+」の数が多いほど効果が高いです。 

日焼け止めがどのように紫外線を遮るか、に関わるのが紫外線散乱剤と吸収剤です。紫外線吸収剤は、化学的に紫外線を吸収し、熱などのエネルギーに変換・紫外線が皮膚に到達するのを防ぎます。対して、紫外線散乱剤は、物理的に紫外線を散乱・反射させます。違いとして、吸収剤は散乱剤に比べて紫外線防御効果が高い、塗り心地が良い、塗っても白浮きしにくいことが特徴です。このため、良いことばかりのように聞こえます。しかし、吸収材は散乱剤よりも肌への負担がかかりやすく、高価と言われています。最近は皮膚アレルギー予防の観点から、あるいは技術の進歩により塗り心地が改善し、白浮きしにくくなっていることから散乱剤が好まれております。もちろん、先のSPFやPAの値が大きくなればなるほど、皮膚アレルギーが生じる可能性が高くなったり、塗り心地が悪く白浮きしやすくなったりします。以上の点を踏まえ、日焼け止めを選びます。

【選び方】
どのように選べば良いのでしょう?
単純に値段が高いものやPAやSPFの値が高いものを選んでも、塗り心地・白浮き・落としにくさ・皮膚への刺激感などが異なります。…選ぶ際には、季節による紫外線の強弱、どのくらいの日光暴露時間か、使用条件(水にぬれるか、使用者の肌質)などがポイントです。

使用条件からどのような強さの日焼け止めを選んだらよいか、SPFやPAの目安を紹介します(2001年・IARC handbook of cancer prevention)。
‘常生活:SPF…10以上、PA…(+)以上
軽い屋外活動、ドライブ:SPF…15以上、PA…(++)以上
晴天下でのスポーツ、海水浴、スキー:SPF…20以上、PA…(+++)以上
で帯地方での屋外活動、登山などの高地での屋外活動:SPF…30以上、PA…(+++)以上
ジ線過敏症患者:SPF…40以上、PA…(+++)以上

これらの強さのもので、水に塗れるか、使用予定時間などを基にそれぞれの日焼け止めの但書きを確認し、条件に合ったものを選んで下さい。なお、日焼け(赤い日焼け・黒い日焼け)しやすい方はランクを1つ上げるのが必要です。

次回、日焼け止めの塗り方について解説致します。

(参) 付加価値のついた日焼け止め
最近、アトピー性皮膚炎患者を始めとして皮膚のバリア機能が低下している方については、日焼け止めを使うことで接触皮膚炎ないし光接触皮膚炎が生じやすくなるのでは、という懸念が指摘されています。このため、日焼け止めの製品の中には日焼け止めの機能だけでなく、バリア機能回復を図るために合成セラミドを配合したものが市販されております。
ご興味がある方はご相談下さい。
| スキンケアのポイント | 19:30 | comments(0) | - |
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